「アガリクスと免疫療法」

 最後の治療法として期待され注目を集めてきているのが、免疫療法といわれるものです。この療法はその療法の仕方によっては、後遺症や副作用心配も少なく、とても安全である上に、病気の治療に必要な免疫力を高め、集学的療法を助長し、多大な効果も期待できるものです。
免疫療法とは、一言で言うと体の免疫機構を賦活して、体内に侵入してきた異物や体内での有害物質など、例えば癌細胞に対抗しようという機能や、機能の減弱した細胞・組織を活性化して生体を正常化していこうとするものです。
免疫機能とは、体内から異物を排除し、正常化しようとする自己防衛機能のことです。
癌は、私たちの体にもともと備わっている自己防衛機能、いわゆる免疫力が低下したときに発生しやすいものといえるのです。実は、私たちの体の中では、毎日のようにあちこちで異常細胞が発生したり、異物の侵入が繰り返されているのですが、免疫システムがそれを成長・繁殖する前に死滅させたりして体を守ってくれるのです。そして、この免疫力を高めて患者自身の力で生体を賦活し、これらから体を守ろうというのが免疫療法です。

免疫機能賦活療法とは

 簡単に言えば、動物が本来持っている免疫力のいわゆる生体防御機能をアップさせることによって、病気を治そうというものです。
悪性腫瘍の治療では、これまでの三大療法に次ぐ最先端の療法として免疫機能賦活療法が注目されています。
 人間が生まれながらにして本来持っている免疫機能を生かして癌細胞を叩けば、体に余計な負担や副作用を与えずに効果的な治療ができるからです。
免疫というのはとても複雑なシステムになっていて、よく知られているのが”抗原抗体反応”で、「風疹に一度罹ると二度と罹らない」というものでしょう。
皆さんが免疫療法と聞いてまず思い浮かべるのは、病気の予防をするための予防接種のようなものかもしれません。
ただ最近では、免疫というものを広い意味に捉え、病原菌やウイルスの感染から体を守るシステムだけでなく、悪性腫瘍をはじめとする体の内部で起こる病気から体を守るシステム、いわゆる”生体防御”という働きをも含めて考える ようになってきました。悪性腫瘍細胞は体の細胞が突然変異を起こして悪者になったものですから、異物としては識別できないのではないかと考えられていたため、以前は”免疫システムは悪性腫瘍には効かない”というのが定説でした。
しかし、その後研究が進むにつれて、悪性腫瘍細胞を攻撃して叩いてくれる免疫部隊があることが分かってきました。その主役になっているのが、NK(ナチュラル・キラー)細胞です。通常の人間では、白血球の10%がこのNK細胞です。NK細胞は、体内に悪性腫瘍細胞が生じると、直ちにそれを認知して闘いを挑みにいきます。体を病気から守る免疫システムの中でも、NK細胞は悪性腫瘍細胞専門の兵士の役割を担っているのです。悪性腫瘍細胞は、日常、私たちの体のあちこちで発生しているものなのですが、気が付かないうちにNK細胞がこうした悪性腫瘍細胞と闘って私たちの体をこれら悪性腫瘍細胞から守ってくれているのです。NK細胞以外にマクロファージなどもその活性化を強めて体を守るのです。
免疫賦活療法とは、こうした免疫システムの働きに目をつけて、これを高めて正常に保つことによって難治性疾患を含め、あらゆる疾患を治療していこうとするものです。

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